日米協会の活動

秋の講演と交流の夕べ Lecture & Fellowship Party(at Sheraton Grand Hiroshima Hotel) 2020年10月08日

アメリカの新聞の広島原爆報道 その日から75周年まで 広島市立大学国際学部教授 井上泰浩氏

秋の講演と交流の夕べは、会員73人が参加して開かれた。本年度は、新型コロナウイルス感染拡大の影響でやむなく中止されてきたため、初めての開催。従来の円卓方式とは違って前に向いて着席するスクール形式とし、マスクも着用するなど、感染防止対策を講じた中で催された。

講演は、広島市立大学国際学部の井上泰浩教授が「アメリカの新聞の原爆報道 その日から75周年まで」の演題で話した。1945年8月6日に広島に原爆が投下された翌日にニューヨーク・タイムスが一面で初めて原爆投下を報道。さらにその翌日のワシントン・ポストが「70年間死に満ちる」という原爆被害のすさまじさについて触れた記事を掲載したのに対し、ニューヨーク・タイムスは当時の米国政府の意向を受け、その記事を打ち消すような報道を展開していった様子などを、パワーポイントに当時の紙面を映し出しながら解説した。

その後も被爆から10年、20年、30年などと節目の年の報道内容について詳しく説明。被爆50年の1995年に起きたスミソニアン博物館での原爆展にまつわる激しい論争や、今年のワシントン・ポストやロサンゼルス・タイムスの記事などについて紹介した。米国で信じられてきた原爆投下が兵士100万人の命を救ったという「原爆神話」について、米国の新聞でも最近は疑問が投げかけられ始めている状況に触れ、原爆に対する米国の報道姿勢が「変わったのか、変わりつつあるのか、変わらないのか。そうといえるし、そうではないともいえる」と結んだ。

交流会でも、会員はなるべく席を立たず、飛沫感染しにくいよう大きな声での会話を避けるなどの感染防止の注意事項を守りながら食事や会話を楽しんだ。